01
一月
この月に消えることば
終える
何も死ねない。契約が切れず、火が消えない。
この月の暮らし
人々は一月明けの夜明けに訪れる「初死の朝」に備える。火も契約も苦痛も、それまでは終わらない。
一月に残された記録
01ひとこと記録
宿の竈の火が、七日消えない。だれも困っていないのが、いちばん怖い。
02欠け月生活記録
一月十八日。燻製小屋の匂いがまだ残っている。先月の仕舞い支度で仕込んだぶんだ。裏の爺さまが、今年も初死の朝に行くと決めたらしい。決めた、という言い方をこの月にはする。まだ死ねないから、日にちのほうを先に決めるのだ。茶を出したら、笑って飲んで、それから茶碗をずいぶん長く持っていた。私は何も言えなかった。
03観測記録
観測地:北の峠道朔からの日数:十九日渋りの度合い:半止まり観測事項:雪に埋もれた馬車の積荷が、十九日を経ても腐敗の兆候を示さない。荷主は先月末より不在。暮らしへの影響:荷の処分ができず、街道の除雪が滞っている。晦日まで動かせない見込み。白暦院への具申:月明けの一斉清算に備え、月内に荷の引受人を確定されたい。
一月の記録を書く
この月の住人として、見たことを一行から書けます。
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