02
二月
この月に消えることば
隔てる
錠・壁・皮膚・国境などの境界が曖昧になる。
この月の暮らし
錠・壁・国境が曖昧になる休戦月
二月に残された記録
01ひとこと記録
錠が掛からないので、店の品を全部奥へ積んだ。番は三人交代。二月はみんな寝不足になる。
02欠け月生活記録
二月七日。隣とのあいだの壁が、また薄くなってきた。声も匂いも通る。向こうの夫婦が夜中に言い合っているのが聞こえて、私は寝床で天井を見ていた。知りたくなかったことを知ってしまう月だ。朝、井戸で顔を合わせたとき、奥さんは何ごともなかったように笑った。私も笑った。二月の礼儀というのは、たぶんそういうものだ。
03観測記録
観測地:東の関所朔からの日数:二十二日渋りの度合い:止まり観測事項:境界線の識別が不能。両側の守備兵が同一の焚き火を共有している状態を確認。暮らしへの影響:通行の記録が取れず、関税の徴収を停止。争いの届け出は本月に入って一件もない。白暦院への具申:月明けの境界復旧まで、通行証の発行を一括で保留されたい。
二月の記録を書く
この月の住人として、見たことを一行から書けます。
記録を書く