12
十二月
この月に消えることば
還る
出た者が帰れない。
この月の暮らし
誰も旅立たず、家族が家に揃う月
十二月に残された記録
01ひとこと記録
今月はもう誰も町を出ない。出た者が帰れないからだ。門には縄が張ってある。
02欠け月生活記録
十二月一日。十一月の末までに、みんな家に帰ってきた。今年は間に合った。一年でひと月だけ、家族が全員そろう。動くのをやめる月が、この世界の正月だ。隣の家は、今年は一人足りない。灯りだけつけてある。うちも、その分の灯りをつけた。こだまが返らないので、外に向かって呼びかける子どもはいない。静かな月だ。
03観測記録
観測地:町の東門朔からの日数:一日渋りの度合い:渋り観測事項:門を出た三名が帰還できない事例を確認。近隣の宿場から無事の連絡があった。暮らしへの影響:門番が縄を張り、本月中の出立を全面的に差し止め。白暦院への具申:出立差し止めを例年どおり布告し、月明けまでの滞留者に宿を手当てされたい。
十二月の記録を書く
この月の住人として、見たことを一行から書けます。
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